はじめに  現在,さまざまな血管新生阻害薬の臨床開発が進行中であるが,肝細胞癌に対してソラフェニブはその臨床的有効性が証明され1)2)日本においても標準的治療薬の一つとして使用されている。一方,血管新生阻害薬の薬力学的効果を評価するバイオマーカーとしてsVEGFR1,2が知られているが,直接的な薬理作用を反映しておらず,有用なバイオマーカーの開発が望まれている。新規血管新生阻害薬であるBIBF1120はVEGFR・FGFR・PDGFRのtriple angiokinase inhibitorで主にVEGFR2阻害による,血管新生阻害薬と位置づけられている。今回われわれは,BIBF1120の肝細胞癌への有用性を検討するためにin vitroとin vivoにおいて抗腫瘍効果を検討し,同時に新しいバイオマーカーの開発としてマウスの血液サンプルを代替組織としたフローサイトメトリーによる検討を行った。