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HCC Best Practice

東京大学先端科学技術研究センターゲノムサイエンス分野における肝細胞癌治療の取り組み 遺伝子異常の解明から肝細胞癌の新たな治療法の開発目指す

油谷浩幸

The Liver Cancer Journal Vol.3 No.2, 49-54, 2011

 東京大学先端科学技術研究センターゲノムサイエンス分野における肝細胞癌治療の取り組みについて,ゲノムサイエンス分野教授の油谷浩幸先生にお話を伺った。遺伝子異常は加齢に伴って蓄積していく。それが癌遺伝子の活性化や癌抑制遺伝子の不活性化をもたらせば,癌が発症・進展すると考えられ,すべての遺伝子異常を解明できれば,発癌メカニズムの解明,新たな治療法の開発につながると期待される。現在,油谷先生らは,新たな治療法の開発を目指し,次世代シーケンサーやマイクロアレイ解析を用いてゲノム,エピゲノム,トランスクリプトームなどの生命情報を包括的に取得・統合解析することにより,肝細胞癌をはじめとした種々の疾患をシステムとして理解することを目指している。

東京大学先端科学技術研究センターゲノムサイエンス分野の概要

 1987年の設立以来,東京大学先端科学技術研究センターは,文理問わずユニークな研究メンバーを集め,社会や研究のニーズに応じて臨機応変に研究チームを組み,分野横断的な研究を推進してきた。

現在は,分野融合によって生まれたオープンラボ型の4つの研究拠点システム生物医学,バリアフリーシステム,先端・環境エネルギー,先端コンテンツで,さまざまな専門分野名を冠した研究室が6つの研究領域(図1)においてダイナミックな研究活動を展開している。

油谷浩幸先生が教授を務めるゲノムサイエンス分野は,癌,血管病,生活習慣病,免疫病のメカニズムの解明とその予防・治療法の開発などを進めているシステム生物医学ラボラトリーに属する。
 油谷先生によれば,同分野は,「次世代シーケンサーやマイクロアレイ解析を用いて包括的に取得したゲノム,エピゲノム,トランスクリプトームなどの多重な生命情報を統合解析し,生命現象や癌を中心とする疾患のメカニズムをシステムとして理解する」ことを目指しているという。また,個別化医療を実現するためには,症例をゲノム,エピゲノム情報に基づいて層別化し,最適な治療法を選択する必要がある。油谷先生らは,癌をはじめとして疾患特異的な標的分子を特定し,企業を含むほかの研究室と協力しながら特異的抗体を作製することにより,新規腫瘍マーカーや分子標的治療薬の開発を推進している(トランスレーショナル研究)。その対象疾患の1つとして肝細胞癌がある。

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