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目で見る肝癌

肝特異性造影剤と多段階発癌

今井康陽村上卓道

The Liver Cancer Journal Vol.3 No.1, 6-14, 2011

キーワード
①肝特異性造影剤
 わが国で現在臨床的に使用可能な肝特異性造影剤としては,腹部超音波(US)造影剤であるペルフルブタン(ソナゾイド),MRI造影剤である超常磁性酸化鉄造影剤(SPIO)およびGd-EOB-DTPA(EOB・プリモビスト®)(EOB)が挙げられる1)9)。ソナゾイド,SPIOはともに網内系細胞に,肝臓ではKupffer細胞に取り込まれ,間接的に肝細胞機能を評価することができる。EOBは肝細胞膜に存在するOATP1B3(OATP8)によって肝細胞に取り込まれ肝細胞機能の評価が可能である10)11)。 ソナゾイドとEOBは血流の評価にも用いることが可能な造影剤である。EOBの登場により,SPIOはほとんど使用されなくなってきている。

②肝細胞癌の多段階発癌
 肝細胞癌の多くがC型肝炎,B型肝炎などによる慢性肝炎,肝硬変を背景にして,low grade dysplastic nodule(軽度異型結節),high grade dysplastic nodule(高度異型結節),早期肝細胞癌からnodule-in-nodule type(結節内結節型)肝細胞癌の脱分化過程を経て,高分化型肝細胞癌,中・低分化型の進行肝細胞癌へと多段階の発癌様式を示すことが明らかにされている12)。

「KEY WORDS」肝特異性造影剤,肝細胞癌の多段階発癌

はじめに

 超常磁性酸化鉄造影剤(superparamagnetic iron oxide;SPIO)造影MRIやペルフルブタン(ソナゾイド®:以下,ソナゾイド)造影超音波(US)post-vascular phase(Kupffer phase)ではKupffer細胞機能評価により肝腫瘍の存在診断を行い,肝細胞癌の検出,さらには分化度診断に有用である。ソナゾイド造影USでは,vascular phaseで肝腫瘍の血流評価も可能である1)-5)。肝細胞特異性MRI造影剤であるGd-EOB-DTPA(EOB・プリモビスト®)(EOB)も,従来のdynamic MDCTやGd-DTPAを用いたdynamic MRIなどによる血流診断と肝細胞機能診断の両面から肝腫瘍の描出,質的診断が可能である6)-11)。これら肝特異性造影剤の登場により,形態,血流,拡散診断に加え,肝網内系や肝細胞機能からも診断情報を得ることが可能となり,肝細胞癌の画像診断は飛躍的に進歩している。
 本稿では,肝細胞癌の多段階発癌過程においてソナゾイド造影US,EOB造影MRI,SPIO造影MRIおよびCT during arterial portography(CTAP)の検出能,造影効果を比較し,肝細胞癌の多段階発癌における肝特異性造影剤を用いたUSおよびMRIによる画像診断の位置づけについて概説する。

多段階発癌におけるSPIO造影MRI,ソナゾイド造影USとEOB造影MRIの描出能の比較

 図1に細胞癌およびdysplastic noduleにおける組織分化度とSPIO造影MRI造影効果の関係を示す1)。

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