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多発肝細胞癌治療の今後の展望
(1)DEBを含む肝動脈塞栓術
掲載誌
The Liver Cancer Journal
Vol.2 No.4 26-31,
2010
著者名
髙橋正秀
/
荒井 保明
/
Michael Uder
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
消化器
/
癌
診療科目
消化器内科
/
放射線科
/
消化器外科
媒体
The Liver Cancer Journal
「Summary」DEBとはdrug-eluting beads(薬剤溶出性ビーズ)を略したもので, 「血管塞栓用ビーズ」という医療材料の一つである. 主として原発性肝癌(HCC)の経動脈化学塞栓療法(TACE)に単独で用いられるが, 日本ではまだ保険承認されていない. DEB-TACEとlipiodol-TACE(Lip-TACE)を比較した臨床試験としては, 2008年9月に結果が公表されたPRECISION V(欧州多施設共同無作為化第II相臨床試験)がある. それによれば, 治療後6ヵ月でのHCC局所制御に関してはDEB-TACEの統計学的優位性を見出せなかったが, 後ろ向きサブグループ解析の結果で, “more advanced patients”における奏功率が有意に高かったとされたことから, DEB-TACEはless toxic new optionとして欧米で急速に普及し始めた. 厚生労働省開催「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」では, 平成20年度に, 血管塞栓用ビーズ4製品が高度優先製品に選定されたが, そのうち2製品がDEBとしての機能を有することから, 近い将来, 日本にも導入される期待が高まってきた. 本稿では血管塞栓用ビーズやDEBの基礎知識と, これまで明らかにされた臨床試験の成績などについて検討する.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。