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肝細胞癌画像診断の進歩
(2)Gd-EOB-DTPA造影MRIの肝腫瘤性病変鑑別診断における意義
掲載誌
The Liver Cancer Journal
Vol.2 No.2 37-44,
2010
著者名
上野彰久
/
谷本伸弘
記事体裁
特集
/
症例
/
全文記事
疾患領域
消化器
/
癌
診療科目
消化器内科
/
腫瘍内科
/
放射線科
/
消化器外科
媒体
The Liver Cancer Journal
「Summary」Gd-EOB-DTPA(EOB・プリモビスト(R))は, 従来の細胞外液性造影剤と異なり肝細胞に取り込まれる性質をもち, 肝細胞機能を直接反映した画像が得られるという特徴がある. ボーラス投与も可能であり, dynamic studyによる血流診断と後期の肝細胞相(hepatocyte phase)による肝細胞機能診断を同時に行うことができる特異な造影剤である. 多くの肝細胞癌は肝細胞相で周囲肝に比し低信号となり, その良好なコントラストにより1cm以下の小さな病変でも明瞭に検出されるようになった. 一方で, 周囲肝実質よりも高信号となるGd-EOB-DTPAを取り込む肝細胞癌も存在することがわかってきた. 転移性腫瘍に関しても, 特に1cm未満の微小転移の検出能に優れており, 術前の治療方針決定に大きな役割を果たすと考えられる. しかし, この造影剤にはいわゆる平衡相という概念が存在せず, 血管腫の診断には注意を要するなど, 従来の診断法とは異なったpitfallも存在することを認識しておく必要がある.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。