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肝癌の局所治療―手術とRFAは本当に同等か?―
(1)同等の傍証
―自験例と全国データ―
掲載誌
The Liver Cancer Journal
Vol.2 No.1 26-31,
2010
著者名
椎名秀一朗
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建石 良介
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後藤絵理子
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内野康志
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新野徹
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榎奥 健一郎
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中川勇人
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増崎亮太
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近藤祐嗣
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五藤忠
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吉田晴彦
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小池 和彦
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金井文彦
記事体裁
特集
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全文記事
疾患領域
消化器
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癌
診療科目
消化器内科
/
消化器外科
媒体
The Liver Cancer Journal
「Summary」肝細胞癌では, 以前から経皮的局所療法と肝切除のいずれが優れているかという議論がなされてきた. 現在では, ラジオ波焼灼療法(RFA)と肝切除とを比較する多施設共同研究も実施されている(SURF trial). 以前の経皮的エタノール注入療法(PEIT)との比較では肝切除のほうが優れているとされ, ガイドラインでは肝切除がより推奨された. しかし, その根拠となった全国データをみると, 2病変, 3病変ではほとんどの場合, 両治療間の生存率に有意差が認められていない. さらに, 両治療間では背景因子が異なり, このデータで優劣を論じることには限界がある. 海外のランダム化比較試験や他の比較研究では, PEITと肝切除とで生存率の差は認められなかった. 現在, PEITはRFAに置き換わった. 自験例では, 初発肝細胞癌1,030例の生存率は1年96.7%, 3年81.9%, 5年61.5%, 7年47.3%, 10年29.9%である. 全国データでは, RFA9,643例の生存率は1年95.0%, 3年76.7%, 5年56.3%, 7年39.3%であり, 肝切除25,066例では1年88.2%, 3年69.5%, 5年54.2%, 10年29.0%である.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。