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座談会(Round Table Discussion)

低悪性度B細胞リンパ腫診療の現状と展望

飛内賢正永井宏和中村直哉新津望

Trends in Hematological Malignancies Vol.3 No.3, 8-13, 2011

低悪性度B細胞リンパ腫の分類と概念
飛内 今回は「低悪性度B細胞リンパ腫診療の現状と展望」というテーマで討議したいと思います。

出席者(50音順)
国立がん研究センター中央病院副院長
飛内賢正(司会)

名古屋医療センター血液・腫瘍研究部長
永井宏和

東海大学医学部基盤診療学系病理診断学教授
中村直哉

埼玉医科大学国際医療センター造血器腫瘍科教授
新津 望

低悪性度B細胞リンパ腫の分類と概念

飛内 本座談会の対象は低悪性度B細胞リンパ腫ですが,治療選択肢あるいは病態の類似という観点から,マントル細胞リンパ腫も含めてお話を伺いたいと思います。まず中村先生に,低悪性度B細胞リンパ腫の概略についてご説明いただきます。
中村 病理学的立場から,B細胞リンパ腫は高悪性度B細胞リンパ腫と低悪性度B細胞リンパ腫に分かれます。高悪性度B細胞リンパ腫には,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL),バーキットリンパ腫,リンパ芽球型リンパ腫があり,それ以外のほとんどのものが低悪性度B細胞リンパ腫の概念に含まれます。その中には,濾胞性リンパ腫,濾胞辺縁帯(マージナルゾーン)リンパ腫,慢性リンパ性白血病/小細胞性リンパ腫や脾臓に原発するまれなリンパ腫などがありますが,マントル細胞リンパ腫のようなきわめて予後不良の特殊な病態も含められると考えています(表1)。

わが国における低悪性度B細胞リンパ腫の中で頻度が最も高い疾患は濾胞性リンパ腫で,15~20%と欧米とほぼ同じ率になっています。MALTリンパ腫を含むマージナルゾーンリンパ腫の頻度も10~15%ありますが,消化管から発生するものが多く消化器内科で扱われる症例も多いようです。マントル細胞リンパ腫の頻度は約3%で,高齢男性に多く発症します。大きく欧米と異なるのは慢性リンパ性白血病/小細胞性リンパ腫の頻度で,本邦では1%に満たないと考えられます。
飛内 永井先生は,臨床医としての立場からどのように捉えておられますか。
永井 低悪性度B細胞リンパ腫は,増殖のスピードが緩慢なのですが,むしろ化学療法が効きにくい面もあり,治療戦略自体も実に多様です。
飛内 マントル細胞リンパ腫について,新津先生はどのように捉えておられますか。
新津 マントル細胞リンパ腫は診断時点ですでに進行期,すなわちStage Ⅲ・Ⅳまで病期が進んでいる症例が大半を占め,多発性のリンパ節腫大と脾臓,骨髄,扁桃などへの浸潤が高率に認められます。節外性病変では消化管ポリポーシスを高頻度に認めます。染色体は特徴的なt(11;14)(q13;q32)がみられます。通常の化学療法で治癒することはまれで,他の低悪性度B細胞リンパ腫に比べて長期予後がきわめて悪く,生存期間中央値は3~5年といわれています。もちろんマントル細胞リンパ腫にも多様性があり,年齢,performance status(PS),LDH,白血球数などの予後因子が低リスクのものはindolentに経過しますが,高リスクのものはかなり急速に進むものが多くみられます。また,Ki-67値が高いものや芽球性亜型では予後が悪いとされていますので,マントル細胞リンパ腫の中でも組織分類を正確に行うことが大切だと思います。
中村 マントル細胞リンパ腫の組織分類としては,小型~中型の細胞で占められる古典型(classical type)の症例が多く,その他にリンパ芽球型リンパ腫の細胞に類似する芽球性亜型(blastoid variant),DLBCLに類似する多形性亜型(pleomorphic variant),マージナルゾーンリンパ腫に類似する単球性亜型(monocytoid variant),さらには小細胞型リンパ腫に類似する小細胞亜型(small cell variant)やcyclin D1が陰性になるマントル細胞リンパ腫まで認められており,それぞれにKi-67の陽性率や核分裂像の多さが関連しています。

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