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米国血液学会(ASH)

52nd American Society of Hematology Annual Meeting and Exposition

2010年12月4日~7日 於 米国・オーランド

横尾眞子久保田寧

Trends in Hematological Malignancies Vol.3 No.1, 44-45, 2011

 2010年12月4日から4日間,ディズニーランドやケネディ宇宙センターでおなじみの米国フロリダ州オーランドで第52回米国血液学会(ASH)が開催された。温暖な気候と想定して臨んだものの,連日5度以下と低温が続いた。その寒さのなか,会場内は2万人を超す参加者が行き交い,白熱した活発な議論が交わされていた。世界で最も大規模な血液学会でのさまざまな新しい発表の中で特に興味をもったものについて報告する。

骨髄異形成症候群に関して

 新規に診断された骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome ; MDS,国際予後判定システムIPSS Int-1以上)と,急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia ; AML)と診断されるが合併症のため標準治療の適応とならないAML症例に対するDNAメチル化阻害薬5-アザシチジン(75mg/m2経静脈投与5日間3~6週ごと)とHDAC(histone deacetylase)阻害薬であるvorinostat(600mg/日,経口5日間)の併用療法の第Ⅱ相試験において,安全性や有効性に関する正式な解析はまだできていないものの,評価可能な18例中3例(18%)に完全寛解(complete remission ; CR),4例(23%)にcomplete marrow CR(blast less than 5%)を認めていることから,高齢者や合併症をもつMDS・AML症例において安全性や有効性が期待されている(アブストラクト#604)。日本においてもようやくMDSに対してのアザシチジンの投与が承認され,MDS治療成績の改善が期待される。

白血病に関して

 慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia ; CML)では,未治療慢性期CMLに対し,ファーストラインでダサチニブ100mg/日とイマチニブ400mg/日とを比較したDASISION studyでは,リンパ球増多の頻度はダサチニブ投与群で有意に高く(ダサチニブ23.6% vs イマチニブ5.4%),分子遺伝学的完全寛解(MCyR)や細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)の改善に関与していることが示唆された(アブストラクト#358)。またGerman CML study groupではイマチニブの800mg群,400mg群,400mg+インターフェロン(IFN)α群の無作為化比較試験を行い,36ヵ月後の分子遺伝学的寛解(MMR)は400mg群79.3%,800mg群81.6%,400mg+IFNα群70.7%と800mg群で良好な結果でありイマチニブ増量の有効性が示唆されていた(アブストラクト#357)。
 AMLでは,高齢者(60歳以上)のCR率改善目的に,寛解導入療法として中等量シタラビン(1,000mg/m2 1日2回,day1,3,5,7)+ミトキサントロン(10mg/m2 day1-3)と標準量シタラビン(100mg/m2 day1-7)+ダウノルビシン(45mg/m2 day3-5)の無作為化比較試験(アブストラクト#334)が行われた(The 60plus trial of the Study Alliance Leukemia ; SAL 60plus Trial)。結果は無再発期間(TTR)中央値が両群ともに11ヵ月で,無病生存期間(DFS)中央値11ヵ月,全生存期間(OS)中央値10ヵ月と両群間で有意差はなかった。

多発性骨髄腫に関して

 CALGB 100104試験は,多発性骨髄腫(multiple myeloma ; MM)に対し自己造血幹細胞移植併用大量化学療法(high-dose therapy with stem cell transplantation ; HDT-SCT)後の治療としてレナリドミド維持療法が予後改善に関与するかを検討したものである。症状無増悪期間(TTP)中央値はレナリドミド投与群で42.3ヵ月,プラセボ投与群で21.8ヵ月で,Grade 3~5の有害事象はレナリドミド投与群が多かったものの,維持療法でのレナリドミドの有効性が示唆された(アブストラクト#37)。
 HDT-SCTの適応とならない初発MM患者でボルテゾミブ(Vc)をベースとした3種類の導入療法の有効性を検討する第Ⅲb相(UPFRONT)試験の報告があった。Vc+デキサメタゾン(VcD)群,Vc+サリドマイド+デキサメタゾン(VcTD)群,Vc+メルファラン+プレドニゾロン(VcMP)群のいずれかを8コース行った後,Vcによる維持療法が行われた。導入療法の奏効率はVcD群68%,VcTD群78%,VcMP群71%であり,維持療法後の奏効率はそれぞれ71%,79%,73%とすべての群で上乗せ効果は認められた。Grade 3以上の有害事象はそれぞれ70%,84%,79%とVcTD群で最も高かった(アブストラクト#619)。今後の追加解析で,レジメン間の有効性と安全性が明らかになると思われるが,MMに対しては複数の新規治療薬の登場によりさまざまな治療法が検討されている状況であり,各々の新規薬剤の利点を活かした,病態や患者背景を踏まえた治療戦略の確立が望まれる。

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