<< 一覧に戻る

Around Hematological Malignancies

ホジキンリンパ腫の新しいトピックス

―境界型リンパ腫(grey zone lymphoma)との関連性

浅野直子

Trends in Hematological Malignancies Vol.3 No.1, 37-39, 2011

ホジキンリンパ腫の診断における問題点
 ホジキンリンパ腫は,1832年にリンパ節と脾臓を侵す致死性疾患を報告したThomas Hodgkinの名前に因んで命名されたものであり,欧米の若年成人では最も一般的な悪性腫瘍の1つとされ,悪性リンパ腫の約3割を占める。しかしながら,わが国での発症頻度は低く,悪性リンパ腫全体の10%にも満たない比較的まれな腫瘍である。

ホジキンリンパ腫の診断における問題点(続き)

 ホジキンリンパ腫の病理学的特徴は,豊富な反応性細胞を背景に少数の大型腫瘍細胞が出現することである。この大型腫瘍細胞は,Hodgkin細胞およびReed-Stern-berg細胞(H-RS細胞)と呼ばれる単核ないし多核の巨細胞を示し,多くはB細胞由来であるが,CD20を代表とするB細胞抗原の発現は乏しいという特徴を有する。
 このH-RS細胞の存在がホジキンリンパ腫診断のカギとなるが,問題なのは非ホジキンリンパ腫においても形態学的にH-RS類似細胞の出現を認めることである。このことはホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫とが一部でオーバーラップする可能性を示唆し,事実その両者の境界はより曖昧となっている。
 ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の鑑別が重要とされるのは,互いの典型例において臨床的所見および予後が異なり,また特にその治療法も違ってくるからである。したがって,診断時どちらに分類されるかが日々の臨床現場において非常に重要視されるのは当然であり,また鑑別点が曖昧な症例の場合,両者の診断は病理医を悩ませる。

境界型リンパ腫(grey zone lymphoma)とは

 1998年のホジキンリンパ腫と関連疾患のワークショップにおいて,grey zone lymphomaという用語が使用され,ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の境界例を認識する動きがはじまった。Grey zone lymphomaにはさまざまなタイプが存在するが(図1),現在の狭義のgrey zone lymphomaは,縦隔に病変の主座を示す縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫(primary mediastinal B-cell lymphoma ; PMBL)とホジキンリンパ腫(特に結節硬化型)との両方の特徴を有するmediastinal gray zone lymphoma(MGZL)に限定されている。

これはWHO分類(第4版)1)において“B-cell lymphoma, unclassifiable, with features intermediate between diffuse large B-cell lymphoma and classical Hodgkin lymphoma”という名前で,非ホジキンリンパ腫の1つとして掲載されている(図1a領域)。病理形態学的にH-RS細胞類似の腫瘍細胞を有するが,B細胞マーカーが陽性となる(図2a, b)。

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る