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Communication 医師・患者関係
慢性骨髄性白血病患者に対するコミュニケーション・スキル
掲載誌
Trends in Hematological Malignancies
Vol.2 No.3 32-35,
2010
著者名
久保田靖子
記事体裁
連載
/
全文記事
疾患領域
血液
/
癌
診療科目
血液内科
媒体
Trends in Hematological Malignancies
『はじめに』 慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia;CML)は, 造血幹細胞の異常による骨髄増殖性疾患の1つであり, bcr-ablキメラ遺伝子がその発症に関与している. Bcr-Abl蛋白を標的としたイマチニブ, さらに第2世代のチロシンキナーゼ阻害薬の臨床導入により, CMLの治療方針は大きく変化した1). イマチニブ登場以前の治療に比較すると, 内服薬である治療の簡便さを含め, 有効性と安全性の大幅な改善が得られたことから, 慢性期のCML患者に診断・治療の説明を行う際に医師が感じる困難さは, 「非悪性の慢性疾患」と感じられるほどに軽減されたと思われる. しかし, 多くの患者が, 自覚症状に乏しく健康診断など偶然の採血により診断に至ることから, 患者の病状認識が不良な場合も多い. また治療は長期間に及ぶため, 日常生活への影響や経済的な対応が重要な問題になってきたと考えられる. 患者が疾患について十分に理解したうえで指示された治療を遵守し, 通常の生活をより充実して心穏やかに送ることができるよう, 適切なコミュニケーション・スキルを応用していくことが必要である.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。