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慢性骨髄性白血病
掲載誌
Trends in Hematological Malignancies
Vol.1 No.1 4-7,
2009
著者名
赤司 浩一
記事体裁
連載
/
全文記事
疾患領域
血液
/
癌
診療科目
血液内科
媒体
Trends in Hematological Malignancies
「慢性骨髄性白血病の病態および病期進行」慢性骨髄性白血病(CML)は, 9番染色体と22番染色体の相互転座によって生じるフィラデルフィア(Ph)染色体(異常な22番染色体)のBCR-ABLという新しい融合遺伝子が造血幹細胞レベルで生じることから始まる. この融合遺伝子はABLのチロシンキナーゼの恒常的活性化が特徴であり, 正常な造血幹細胞が異常なCML幹細胞へと変化し, それが過剰な自己増殖能, 染色体不安定性等の白血病化に関与する能力を獲得することによって発症する. したがって, 治療目標はCML幹細胞の除去と正常造血の回復であるが, 抗癌剤や分子標的薬への耐性も認められる. 正常な造血幹細胞(CD34+CD38-Lin-)は, 健康状態では「幹細胞のすみか」である骨髄内の造血微小環境ニッチにおいて, その多くが細胞周期を回転させず, 静止期として存在しており, その未分化性を維持している. そしてその一部が分化してCD34+CD38+の前駆細胞となり, CMP(骨髄系共通前駆細胞)からGMP(顆粒球・マクロファージ系前駆細胞)およびMEP(巨核球赤芽球系前駆細胞)へと分化し, 最終的に各系統の血球細胞が正常に形成される.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。