<< 一覧に戻る

パーキンソン病のVisual View

Graft-induced dyskinesiaの病態

安藤喜仁村松慎一

Frontiers in Parkinson Disease Vol.9 No.2, 24-28, 2016

「はじめに」人工妊娠中絶した胎児の中脳ドパミン神経細胞を線条体に移植する細胞治療は,進行したパーキンソン病(PD)患者に対する先端治療として,1980年代から欧米を中心に実施された。オープンラベル試験では,ある程度の運動機能の改善が示され,一部の症例では移植10年以降も移植細胞が生存し治療効果が維持されていた1)。しかし,頭蓋骨の部分穿孔のみの偽手術群を対照とする二重盲検試験が米国で2件行われ,60歳以下や軽症の患者に限定した場合には対照群より運動症状の増悪が少なかったものの,全体としては効果が確認されなかった2)3)。問題となったのは,l-ドパなどの薬剤を中止しても持続する不随意運動が10~57%に出現し,その治療のため脳深部刺激療法を要したことであった。この不随意運動は,graft-induced dyskinesia(GID),off-phase dyskinesia,run away dyskinesiaなどと称され,長期生存例の移植細胞に出現するレビー小体とともに,細胞移植治療を推進するために解明が望まれる課題となっている。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る