京都市中京区のオフィス街に2011年に開業したはやし神経内科。院長の林理之先生は神経難病と認知症の診療をライフワークとして臨床経験を重ね,「城の中にいるよりも,外に出て戦う医師でありたい」との思いから開業を決意した。慣れない経営業務に苦労しながらも,念願であった在宅医療に力を入れ,病診連携・診診連携を密に行い,看取りまでを全うしている。外来と訪問診療で多忙な日々を送る林先生に,開業までの経緯やパーキンソン病(PD)診療のコツ,地域医療連携の実際についてお話を伺った。

「開業までの経緯と開業を志したきっかけ」
―開業されるまでの経緯についてお聞かせください。
私は1983年に京都大学医学部を卒業後,同大学の神経内科学教室(現 臨床神経学)に入局しました。神経内科を専門に選んだのは,自分の目や手を使って診断をつけていくという神経内科の流儀が自分にあっていると思ったからです。また,叔父が筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)を患っていたことから,神経難病に関心をもっていました。神経難病の診療については東京都立神経病院での経験が基礎となっています。