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誌上ディベート
家族性パーキンソン病は孤発性パーキンソン病のモデルになるか?
掲載誌
Frontiers in Parkinson Disease
Vol.2 No.2 16-23,
2009
著者名
水田依久子
/
戸田 達史
/
澤田誠
記事体裁
誌上ディベート
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全文記事
疾患領域
神経疾患
診療科目
脳神経外科
/
神経内科
/
老年科
媒体
Frontiers in Parkinson Disease
「はじめに」 孤発性パーキンソン病(PD)は複数の遺伝因子と環境因子が原因となって発症する多因子遺伝疾患の1つであり, PD全体の90~95%を占める. これらの因子の同定については, 患者対照関連解析や疫学調査などにより, いくつかの統計学的に有意なものが知られている. しかしながら, 各因子単独の効果はあまり大きくなく, 個々のPD患者の発症に関与する因子の組み合わせは様々である(図1). そのため, 孤発性PDのモデル実験, 例えばモデル動物の作製は非常に難しい. これに対して, 家族性PDは, 人数としてはPD全体の数%だが, 遺伝因子の占める割合が高いために家系内に複数の発症がみられると考えられる. 家族性PDの多くは遺伝形式がはっきりしない多因子遺伝と考えられるが, 一部の家系は常染色体優性または劣性のメンデル遺伝形式をとる1). このようなメンデル遺伝性PD家系については, 単一遺伝子が原因となるので, 連鎖解析により原因遺伝子の同定が可能である.
本企画は問題点をよりクローズアップすることを目的としており, このテーマに対して, あえて一方の見地に立った場合の議論であって, 必ずしも論者自身の確定した意見ではありません.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。