乳房Paget(パジェット)病とは,乳頭部に湿疹のような皮膚病変を形成する,乳癌の一型です。かつてはページェットと記載されていましたが,原語の発音の状況も鑑みられて現在ではパジェットとされています。わが国では乳癌全体の1%に満たない比較的稀なものです。乳頭部にびらん,発赤,かゆみ,および痂皮形成などを生じ,湿疹に類似しますが,ステロイド軟膏の塗布など皮膚病の治療では効果がありません。その本質は乳癌細胞が表皮内に進展したものです。表皮内には,パジェット細胞と呼ばれる異型細胞が小集塊を形成,あるいは孤立性に認められます(図3)。定型例では大型の,核異型が目立つ細胞で,細胞質は淡明であるため表皮細胞とは区別が可能です。これらのパジェット細胞は表皮基底層近くに認められる場合が多く,ときに表層にまで広がり,びらんを形成します。
よくわかる病理診断報告書
Q26 パジェット病について教えてください
掲載誌
CANCER BOARD乳癌
Vol.7 No.2 38-39,
2015
著者名
森谷 卓也
記事体裁
抄録
疾患領域
癌
診療科目
腫瘍内科
媒体
CANCER BOARD乳癌
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。