術後の早期乳癌であろうと,転移・再発乳癌であろうと,ホルモン受容体陽性の乳癌では,全身療法としては内分泌療法が基本である。その中でも閉経前乳癌の術後内分泌療法はタモキシフェンが基本である。一方で転移・再発乳癌では,小さな比較試験ではあるがタモキシフェン単独あるいはLH-RHアナログ単独と比べて,LH-RHアナログにタモキシフェンを併用した方が無増悪生存期間も全生存期間も有意に延長することが示唆されており,併用療法が行われる。術後補助療法でもタモキシフェンに加えてLH-RHアナログを併用することは理論上は魅力的だが,質の高い臨床試験はないため,併用すべきかどうかは議論のあるところである。

●本企画「誌上ディベート」は,ディベートテーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論です。問題点をクローズアップすることを目的とし,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。