よくわかる病理診断報告書
Q22 浸潤・偽浸潤の判定法と意義について教えてください
掲載誌
CANCER BOARD乳癌
Vol.6 No.2 38-39,
2014
著者名
森谷 卓也
記事体裁
抄録
疾患領域
代謝・内分泌
/
癌
診療科目
一般外科
/
腫瘍内科
/
放射線科
媒体
CANCER BOARD乳癌
乳癌は乳管腺葉系内の上皮から発生すると考えられ, 癌細胞が管内にとどまる非浸潤癌と, 管腔を越えて周囲間質を破壊増殖してゆく浸潤癌の大きく2つに分類することが可能です. 浸潤癌は局所を拡がり, やがて脈管にも侵襲し, リンパ節や遠隔臓器に転移する能力を有します. 浸潤径は癌の進行度を現す指標のひとつとして, TNM分類・臨床病期決定の必須項目であるとともに, 特に早期癌では治療の選択にも関わることがあります. したがって病理診断においては, それが癌細胞であることを認識するのと同時に, 浸潤癌成分かどうかを確認することが極めて重要です. 最も早期の浸潤癌は微小浸潤癌(浸潤径1mm以下)として, WHO分類・TNM分類でも取り上げられています. 浸潤巣の判定は, 癌胞巣の形状と分布から, 既存の乳管腺葉系を押し広げただけの状態か, それらを破壊しているかにより行っています(図4).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。