「症例」 20歳代. 現病歴：左乳房の腫瘤と左腋窩のリンパ節種大を自覚して前医を受診し, 乳癌が疑われた. 精査目的でがん研究会有明病院に紹介受診. 家族歴：特になし. 既往歴：15歳時に急性リンパ性白血病あり. 化学療法にて完全寛解. 「1 初診から治療方針の決定まで」 1. 初診, 画像による鑑別診断 <五味(司会)> 今回はTriple negative乳癌(TNBC)に対する術前薬物療法を取り上げます. 主治医として深田一平先生(がん研有明病院), 腫瘍内科医の立場から伊藤良則先生(がん研有明病院), 病理医の立場から笹野公伸先生(東北大学), そして画像診断医の立場から五味(がん研有明病院)が加わり, 議論を進めさせていただきます. それでは, 深田先生から今回の症例をご紹介ください. <深田> 24歳の未婚女性で, 主訴は, 左乳房の腫瘤と左腋窩のリンパ節腫大の自覚です.