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用語解説

乳房トモシンセシス

鯉淵幸生

CANCER BOARD 乳癌 Vol.5 No.2, 93-94, 2012

乳房トモシンセシス装置
 乳房トモシンセシスとは,圧迫された乳房を短時間でスキャンし,複数の角度で静止画像を収集するデジタルマンモグラフィの三次元撮影技術である。3Dの元画像として収集された個々の画像は一連の薄い高解像度断層像に再構成され,被写体厚+5mmを再構成範囲として,1mm間隔のスライス画像で1画像ずつ,または連続的に動画状に表示される。
 複数回(15回以上)の撮影を行うために,被ばく線量が問題となるが,それを軽減する低線量照射の工夫がなされており,2Dと3Dを両方撮影しても,AGD 3mGy以下とする乳癌検診ガイドラインの基準を下回る。撮影時間は装置により異なるが,短いもので10秒以下,長いものでは40秒ほどである。

乳房トモシンセシスの有用性

 トモシンセシスで最も優れた能力は,微細な辺縁の性状を鮮鋭に描出する能力である。従来の2Dマンモグラフィでは,小さな腫瘤が前後の乳腺と重なった場合に境界が判定不能になり,所見が認識できなくなる症例がしばしばあった。トモシンセシスでは,前後の組織の重なりを取り除き,従来の2D画像では認識不可能な小さな構築の乱れが認識可能になる。すなわち,病変の存在する断層像でspiculaが鮮明に描出され,それにより癌の存在を強く疑うことが可能となる(図1)。

 2D画像におけるFAD(focal asymetric density;局所的非対称陰影)は,それが乳癌で形成されている場合は,トモシンセシスでは前後の重なりが排除され,浸潤を示唆する辺縁が認識可能になる。また,乳腺や血管の単なる重なりや,孤立性の乳腺組織がFADという所見を形成している場合は,トモシンセシスで重なりを排除することで,悪性所見ではないと認識可能になる。

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