はじめに  Rapamycinは放線菌(streptomyces hygroscopics)が産生するマクロライド系抗生物質(抗真菌薬)として1970年代に発見され,抗真菌作用のほか,抗癌作用や免疫抑制作用など,幅広い増殖抑制作用が知られていた。mTORは,1994年にrapamycinの哺乳類におけるターゲットとして発見され 1) 2),mammalian target of rapamycinの略であったが,現在では公式名称としてmachanistic target of rapamycinが採用されている(HUGO Gene Nomenclature Committee)。mTOR阻害薬は,現在腎細胞癌などで治療薬として使用されており,乳癌においてもホルモン療法(アロマターゼ阻害薬)との併用においてその有用性が示され 3),新規の分子標的治療薬として期待されている。