State of the art(胃がんperspective)
高齢者早期胃癌に対するESDの適応とESD後の治療指針
胃がんperspective Vol.11 No.1, 21-27, 2020
高齢早期胃癌患者の治療に際して,原則的には胃癌治療ガイドラインの「絶対適応病変」,「適応拡大病変」に対してESDを施行するのが現状である。しかしながら,ESDで内視鏡的根治度C-2(eCuraC-2)となった後には,外科的胃切除の侵襲性が大きいことを考慮し,無治療経過観察を選択することも実臨床では少なくない。この場合,闇雲に無治療経過観察を選択すると原病死増加を招く恐れがあり,病変のリンパ節転移リスク・手術の合併症リスクとQOLへの影響・他病死リスクを考慮の上,慎重に方針を決定する必要がある。リンパ節転移リスクの把握には,eCura systemや国立がん研究センター中央病院のリンパ節転移リスク層別化データが有用である。高齢者早期胃癌診療では,内視鏡的根治度C-2(eCuraC-2)後の対応について考えるのみならず,ESDの高齢者新規適応についても考える余地がある。高齢早期胃癌患者に許容されるリンパ節転移リスクを非高齢者より広げることで,より多くの早期胃癌病変が高齢者ではESDの対象になる可能性があり,今後の検討課題と考える。
「KEY WORDS」高齢者,早期胃癌,ESD,eCuraC-2
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。