胃拡大内視鏡の診断体系は,研究者により異なり統一されたものが存在しなかった。2013年から消化管学会ガイドライン小委員会において胃拡大内視鏡による早期胃癌診断のための統一アルゴリズムの作成が開始された。構成委員は,胃拡大内視鏡について少なくとも1編の英語原著を出版している研究者から構成された。Evidence based medicine(EBM)に基づき,論文のシステマティックレビューを行った。その結果,最もエビデンスレベルが高く,最も国際的にコンセンサスを得ている診断体系は,筆者が提唱したVS(vessel plus surface) classification systemであった1)。代表的なエビデンスを示した論文2)-4)のアウトカムを統合し,約2年間の歳月を経て,統一アルゴリズムが完成した。作成委員によりMagnifying Endoscopy Simple Diagnostic Algorithm for Early Gastric Cancer(MESDA-G)と呼称することが決定された。日本消化管学会,日本消化器内視鏡学会,日本胃癌学会,世界消化器内視鏡学会の4学会による承認を得た統一アルゴリズムとして,2015年2月の日本消化管学会の国際シンポジウムで公開し,MESDA-Gについて掲載した論文をDigestive Endoscopyに投稿し掲載された5)。詳細はオリジナル論文を参照していただきたい。本稿においては手技の解説ではないが,MESDA-Gを用いた胃拡大内視鏡所見の読影法について紹介する。