<< 一覧に戻る

内視鏡手技の解説―臨床のコツとテクニック―

OTSC使用のコツとテクニック

小野裕之

胃がんperspective Vol.9 No.3, 38-43, 2017

わが国で開発された,早期胃癌に対するESD(粘膜下層剥離術:Endoscopic Submucosal Dissection)は,初めて報告されてからすでに20年近く経過し,標準的な治療となった1)-3)
しかし,大きな病変や潰瘍瘢痕を有する病変など,難易度の高いESDでは,出血や穿孔などの偶発症の発生が多くなる。穿孔はクリップによる縫縮で保存的に治療することが可能であるが,時に巨大な穿孔などでは通常のクリップ縫縮が困難で,緊急手術が必要になる場合がある。OTSC(over-the-scope-clip)(OVESCO,ドイツ)はこのような場合に有用な手段(道具)である。
OTSC システムは,NOTES(Natural Orifice Transluminal Endoscopic Surgery)に関連して開発された機器のひとつで,通常の軟性内視鏡の先端に装着するクリップ式の全層性縫合器である。クリップ本体は通常よりも大きく,その形状はいわばトラバサミのようなものをイメージするとわかりやすい。消化管穿孔や瘻孔閉鎖,術後縫合不全での有効性に関して種々の報告が見られる。2007年にKirschniakらによって消化管出血や穿孔閉鎖の有用性に関して報告され4),その後も消化管穿孔や瘻孔閉鎖,術後縫合不全での有効性に関して種々の報告が見られる5)6)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る