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私と胃癌

第3回 安全な胃癌手術を目指して,特に,手術侵襲に伴う転移促進とdouble tract型ρ-Graham変法について

佐治重豊

胃がんperspective Vol.9 No.2, 64-69, 2017

昭和40年前後に卒業した私と同年代の外科医は,小学校が戦後教育の始まりで「カタカナ」から「ひらがな」に,入局数年後にカルテ記載が「独語」から「英語」に,研究室時代は顕微鏡と免疫染色による「形態学的診断」であったのが,研究を指導する頃にはRT-PCR法を用いた「遺伝子診断」に変わるという経験をしているはずである。一方,特訓に特訓を重ねて習熟した手術手技は,教授時代後半には腸管は機械吻合に代わり,腹腔鏡補助下手術の登場で出番が激減した。思うに,われわれの時代は,常に下から突き上げられ,歴史に翻弄された哀れな世代(?)で,自分の努力が報われない人生を送って来たのではとの思いが堪えない。そんな折,「私と胃癌」と題する企画を頂き,過去を振り返ることで,少しは自己アピールできるかもしれないと考え快諾した。理由の一つに,岐阜の大学病院は市内中心部に存在したが,手術適応のハイクラス患者の多くは名古屋へ流れ,残った症例は手術適応のボーダーラインか適応外の末期進行癌患者が多かったということがある。それ故,胃癌の場合は左内臓全摘や膵体尾脾や肝合併切除に,直腸癌では骨盤内臓全摘となる例が多かった。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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