専門医のためのアトラス
管状腺腫(腸型と胃型)
胃がんperspective Vol.8 No.2, 32-36, 2015
現在,良性上皮性腫瘍に分類される胃腺腫は,構成細胞の特徴によって腸型と胃型に大別される。本稿では,各組織型の典型像を示すとともに,注意すべき鑑別疾患をあげて,胃腺腫の臨床病理学的特徴を概説したい。
「はじめに」消化管の中でも胃粘膜の組織像は多様である。表層部は腺窩上皮によって被覆されているが,深部には部位別に異なる種類の固有腺が存在し,さらに胃内の環境の変化に適応するための現象である化生も高頻度に認められる(図1)。胃上皮性腫瘍は良性上皮性腫瘍と悪性上皮性腫瘍に分類されるが,悪性上皮性腫瘍である胃癌は多彩な組織像を呈し,Lauren分類や中村分類など腺管形成の有無や分化度あるいは構造的特徴を指標とした分類のみならず,粘液形質発現や細胞の特徴に基づいた分類なども知られている。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。