<< 一覧に戻る

State of the art(胃がんperspective)

がん細胞リプログラミングの治療応用への可能性

浜部敦史石井秀始森正樹

胃がんperspective Vol.8 No.2, 26-31, 2015

iPS細胞樹立により,鍵となる転写因子を発現させると,分化した線維芽細胞のエピジェネティック修飾がリセットされ,多能性幹細胞の性質を獲得すること(リプログラミング)が示された。エピジェネティック修飾は,癌細胞においても,腫瘍内不均一性の原因となるメカニズムのひとつとして重要性が示されている。腫瘍内には,治療抵抗性などの悪性形質を有する細胞が含まれており,癌根絶を目指すうえで重要な治療標的である。われわれの教室では,癌細胞をリプログラミングすることで,悪性形質が改善することを明らかにし,さらに遺伝子発現ではなく,micro RNAを用いたリプログラミング手技が有用な治療手段であることがわかった。本治療は,治療困難性にかかわる腫瘍内不均一性を打開し得ると考えられる。今後,micro RNAによる癌リプログラミング治療の有効性,安全性の評価が必要である。
「Key words」リプログラミング,エピジェネティクス,iPC細胞,micro RNA

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る