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専門医のためのアトラス

早期胃癌における肉眼所見と組織所見の関連性

杉本亮上杉憲幸菅井有

胃がんperspective Vol.8 No.1, 28-34, 2015

胃癌の組織像は肉眼像と関連していることが多く,隆起型は分化型がほとんどで,平坦型,陥凹型では分化型と未分化型の双方が見られる。陥凹型では肉眼像と組織像の間に特徴的な違いが見られることが多い。
「はじめに」レントゲン像でも内視鏡像でも肉眼所見の観察が診断の中心的役割を担っていることに変わりはない。病変の大きさ,形態像,表面の性状などに基づいて病変の質的診断を行うが,その際肉眼所見の拠り所となるのが組織像である。組織像の組み合わせが肉眼所見を形成することになり,統合的な組織所見の理解が肉眼像の理解に重要となる。胃癌の組織像には多くの組織型があるが,分化型と未分化型に大別されることが多い。分化型と未分化型においては,組織像はもちろんのこと組織発生,肉眼像,臨床像,転移様式,予後などが対照的である。胃癌の組織像を考える上で,両者の違いを理解しておくことは重要である。肉眼像と組織像の対比は肉眼像と分化型もしくは未分化型との対比として理解することも可能である。本稿では,上記の観点を加えて早期胃癌の肉眼像と組織所見の関連性について述べる。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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