座談会(Round Table Discussion)
胃癌におけるresectable metastasisの位置づけ
胃がんperspective Vol.8 No.1, 5-13, 2015
胃癌治療において,従来はStage Ⅳ胃癌に対しては手術を行わず,一律に化学療法の適応とされてきた。近年では化学療法の進歩により,Stage Ⅳ胃癌においてもresectable metastasisといえる手術適応を考慮すべきケースも少なからずあると考えられる。そのような背景から,胃癌治療ガイドライン医師用2014年5月改訂(第4版)でもクリニカル・クエスチョン(CQ)においてはじめて一部のStage Ⅳ胃癌における手術の考慮について指針が示された。本座談会では,進歩を続ける化学療法の現状および展望と,Stage Ⅳ胃癌に対する手術の考え方や実施タイミングなどについてご討議いただいた。
「Stage Ⅳ 胃癌のさらなる治療成績の向上に必要なもの」
吉田:本日は「胃癌におけるresectable metastasisの位置づけ」をテーマに,Stage Ⅳ胃癌の治療方針についてお考えをお伺いしたいと思います。2014年5月に改訂された胃癌治療ガイドラインでは,新たにクリニカル・クエスチョン(CQ)が設けられ,大動脈周囲リンパ節転移例,少数の肝転移,腹腔洗浄細胞診陽性(CY1)など領域リンパ節以外の転移(M1)と位置づけられるStage Ⅳの症例に関して,外科的切除を考慮してもよいのではないかという議論に応えるかたちになっています。まずCQ作成の背景について,小寺先生からお聞かせいただけますか。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。