レジデントからのQ&A
胃癌術後合併症の膵液瘻の診断と治療について
掲載誌
胃がんperspective
Vol.7 No.1 48-50,
2014
著者名
加治正英
記事体裁
抄録
疾患領域
消化器
/
癌
/
栄養管理
診療科目
手術・救急
/
放射線科
/
消化器外科
媒体
胃がんperspective
Answer「はじめに」 胃癌に対する手術治療は, 根治性を目指し適切なリンパ節郭清を必要とし, 時には拡大手術を行わなければなりませんが, それに伴って合併症を引き起こす危険性も高くなるのは避けられないところです. なかでも, 膵液瘻は依然として一定の頻度で発生し1), 経過によっては生命の危険が及ぶ重篤な合併症の一つです. 「膵液瘻の診断」 膵液瘻の診断基準は各施設でさまざまですが2)3), 当科では, ドレーン排液の性状および画像診断による膵周囲の炎症や膿瘍形成を診断基準としています. ドレーン排液アミラーゼ値は第1, 3, 5病日に測定し, 膵液瘻の予測としていますが, アミラーゼ値のみで診断基準とするのは難しいと考えています4). 具体的には, ドレーン排液は術後早期に膵液が混じることによって特徴的なワイン色を呈し, これに感染が合併すると, 粘稠な灰白色排液から膿汁様排液となります.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。