専門医のためのアトラス
高分化腺癌の異型度と臨床像
胃がんperspective Vol.4 No.1, 32-35, 2011
高分化腺癌は一般に悪性度の低い癌とされているが,細胞の異型度の違いで悪性度は異なる。
本稿では高分化腺癌の異型度の違いと癌の悪性度や臨床像との関連について概説する。
はじめに
一般に,胃腺癌のうち分化型腺癌(乳頭腺癌,高分化管状腺癌,中分化管状腺癌)は悪性度の低い癌に分類され,低分化型腺癌(非充実型低分化管状腺癌,充実型低分化腺癌,印環細胞癌)は悪性度の高い癌に分類されている。しかしながら,進行癌では低分化型の方が予後不良であるが,早期癌ではむしろ分化型の方が予後不良であることが報告されており,これは早期癌では肝転移をしばしば来すことがあるためと考えられている。また,分化型の中でも乳頭腺癌は低分化腺癌と同等に予後不良であることも報告されている1)-3)。
このように分化型腺癌であっても悪性度の高いものは存在し,細胞異型が低いもの(低異型度・分化型腺癌:LG-WDA)(図1)より高いもの(高異型度・分化型腺癌:HG-WDA)(図2)の方が悪性度が高いことが判明してきた。

以下,分化型腺癌における低異型度と高異型度の臨床病理学的違いについて解説する。
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。