「Summary」 骨盤内悪性腫瘍に対する放射線治療による放射線腸炎は, 1897年のWalshの報告に端を発する. その後, 1938年にToddによって放射線による腸管障害が早期障害と晩期障害の2種類に定義づけられ, 以降の多数の症例報告から, 特徴的な所見をもつ晩期の放射線腸炎の中から発生した大腸癌が, 放射線誘発大腸癌と考えられている. そのため, 放射線誘発大腸癌の診断と治療とは, 随伴する放射線腸炎に対する診断と治療とほぼ同義語である. 諸家の報告通り, 放射線誘発大腸癌は, 進行癌で見つかることが多く, 外科的切除後の予後は不良である. そのため, 放射線治療が奏効し10年以上経過した無再発例では, 照射野に大腸が含まれていれば, その後は放射線誘発大腸癌のリスクを念頭に置いた積極的なサーベイランスが必要と思われる. 「はじめに」 放射線治療後の二次癌は被照射組織より一定の潜伏期の後に発生した腫瘍で, その種類は, 軟部組織肉腫が全体の26%を占めて最も多く, 白血病がこれに次ぎ, 大腸癌, 皮膚癌, 膀胱癌, 骨軟骨肉腫, 食道癌, 肺癌などの順になっている1).
特集 炎症と大腸癌
放射線腸炎による発癌の診断と治療
Diagnosis and treatment of radiation-induced colorectal cancer
掲載誌
大腸癌FRONTIER
Vol.6 No.2 65-71,
2014
著者名
金光 幸秀
/
志田 大
/
塚本 俊輔
記事体裁
抄録
疾患領域
消化器
/
癌
診療科目
消化器外科
/
放射線科
/
一般外科
媒体
大腸癌FRONTIER
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