特集 炎症と大腸癌
クローン病発癌の治療
Therapeutic strategy for intestinal and anorectal cancer in patients with Crohn's disease
大腸癌FRONTIER Vol.6 No.2, 41-45, 2013
「Summary」 近年, クローン病の癌合併が問題となっている. 本邦では直腸肛門部癌が多いが口側腸管, 特に瘻孔病変での発癌症例も見られる. 深部浸潤しやすい, 低分化癌や粘液癌が多い, 有効なサーベイランス方法が確立されていないことより予後が不良である. クローン病の肛門病変には難治性複雑痔瘻があげられるが, 癌の合併は痔瘻のみならず狭窄病変にも多く合併する. 治療の中心は外科的切除であるが断端陽性となる症例が多いことが問題で, 化学放射線療法の有効性も十分に明らかにはなっていない. さらに人工肛門造設を要するような直腸肛門狭窄の症例では, 空置直腸が発癌の危険因子であることが報告されており, 予防的に直腸切断術を行なう症例も増加している. 「はじめに」 炎症性腸疾患では長期間の慢性炎症を母地としたdysplasia, colitic cancerの発生が知られるようになり, 潰瘍性大腸炎では癌サーベイランスの重要性, 有効性が広く認識されるようになっている1).
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