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特集 炎症と大腸癌

クローン病発癌の病理

Pathology of carcinoma associated with Crohn's disease

八尾隆史

大腸癌FRONTIER Vol.6 No.2, 31-35, 2013

「Summary」 Crohn病(Crohn's disease ; CD)は腸癌発生のリスクが高いが, 進行癌で発見されることが多く, 癌の早期発見のサーベイランス法を確立する必要がある. CD関連腸癌は大腸癌, 肛門癌, 小腸癌ともに, 通常の腸癌と比較して, 若年発症, 異なる組織型(低分化腺癌, 印環細胞癌, 粘液癌が高頻度), dysplasia-carcinoma sequence, 予後不良という特殊性がある. CD関連癌の部位別の特徴を理解することが, 少なくとも個別の症例の癌化の早期診断には有用と思われる. 「はじめに」 Crohn病(Crohn's disease ; CD)に関連した癌化例は, 1948年の大腸癌1)に次いで, 1956年に小腸癌2)が報告された. CDにおける癌化の頻度は, 欧米では0.6~3.1%3-5), 本邦では1~1.4%6-8)と報告されているが, CDの発癌リスクに関しては一定の見解が得られていなかった.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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