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大腸癌の分子生物学

腸管上皮の長期培養系の確立

藤井正幸渡邉聡明佐藤俊朗

大腸癌FRONTIER Vol.5 No.4, 75-78, 2012

「Summary」近年, 遺伝学的細胞系譜追跡を用いた腸管上皮幹細胞の同定をはじめとして, 消化管上皮幹細胞研究は目覚ましい進歩を遂げている. その一端として, 増殖因子を添加した無血清培地およびマトリゲルを用いた腸管上皮幹細胞の長期培養法が確立された. マウス小腸上皮幹細胞の培養にはじまり, 培地に添加する因子を追加することで, ヒト正常大腸上皮幹細胞, 大腸腺腫や大腸癌の長期培養法も可能となった. この培養条件では幹細胞および幹細胞から分化した分化型腸管上皮細胞が内腔および絨毛状コンパートメント, 陰窩状コンパートメントを有し, 腸管と類似した形態(オルガノイド)をとり, 生体内における幹細胞ヒエラルキーを再現したモデルとなっている. 本法は単一の腸管上皮幹細胞から培養することや, 凍結保存, ウイルスベクターによる遺伝子操作などが可能であり, その生体内細胞との相同性の高さから, 従来の細胞株やげっ歯類動物に変わる新しい研究ツールとして期待されている.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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