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大腸癌の分子生物学

大腸癌におけるマイクロRNAとエピジェネティクス異常

鈴木拓丸山玲緒山本英一郎

大腸癌FRONTIER Vol.5 No.3, 63-67, 2012

「Summary」DNAメチル化に代表されるエピジェネティクス異常はほぼあらゆる大腸癌にみられる現象であり, 数多くの癌抑制遺伝子や癌関連遺伝子がメチル化によりサイレンシングされている. さらに近年, 癌におけるマイクロRNA(miRNA)の重要性がクローズアップされている. 癌細胞ではmiRNA発現プロファイルが大きく変化しているが, そのメカニズムの1つとしてエピジェネティクス異常が関与することが明らかにされつつある. 大腸癌のエピゲノム解析を通して, 癌関連miRNAのサイレンシングも次々と同定されている. miRNAおよびmiRNA遺伝子のエピジェネティクス異常を, 治療や診断にいかに応用するかが今後の課題である. 一方, miRNAが癌のエピジェネティクス異常の原因にかかわっている可能性を示す報告もみられるが, いまだ多くは明らかではない. 「はじめに」マイクロRNA(miRNA)は20~22塩基程度の短い, non-coding RNA(タンパクに翻訳されないRNA)である1).
「Key words」大腸癌(colorectal cancer),マイクロRNA(microRNA),エピジェネティクス(epigenetics),DNAメチル化(DNA methylation)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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