Summary
DNAメチル化異常に代表されるエピジェネティック異常は細胞分裂に際して保存され,癌の発生や進展の原因となりうる。DNAメチル化異常は,突然変異と異なり,一つの癌細胞に多数存在し,非癌部組織にも大量に存在し,慢性炎症が誘発要因として重要で,特異的な遺伝子に誘発される。WNT,MAPK,AKTシグナルの抑制遺伝子,p53シグナル遺伝子,DNA修復酵素遺伝子,細胞周期調節遺伝子など大腸発癌に重要な遺伝子や,TIMP3やTHBS1など癌の浸潤・転移に重要な遺伝子が,DNAメチル化異常により不活化されることが知られる。エピジェネティック変化は,より悪性度が高いクローンの生成,上皮間葉転換,癌幹細胞の形成と維持,癌微小環境の形成,薬剤耐性細胞の生成などを通じて,癌の悪性化に関与していると考えられる。
全文記事
大腸癌の分子生物学
癌細胞の悪性化におけるエピジェネティック異常の役割
掲載誌
大腸癌FRONTIER
Vol.4 No.3 85-92,
2011
著者名
牛島 俊和
/
松田恭典
/
山下聡
記事体裁
連載
/
全文記事
疾患領域
消化器
/
血液
/
泌尿器
/
癌
診療科目
消化器内科
/
泌尿器科
/
血液内科
/
腫瘍内科
/
消化器外科
媒体
大腸癌FRONTIER
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