<< 一覧に戻る

早期大腸癌の内視鏡治療・外科手術の最前線

下部直腸早期癌の外科的治療

Surgical treatment for intramucosal or submucosal cancer at the lower rectum

松田圭二渡邉聡明

大腸癌FRONTIER Vol.4 No.3, 79-83, 2011

Summary
 下部直腸早期癌の治療においては,根治性,機能温存に加えて患者背景をも考慮して治療法を決定していく必要がある。外科的治療としては,局所切除と根治手術がある。局所切除には,経肛門的切除(従来法),MITAS,TEM,経仙骨的切除,経括約筋的切除がある。後二者は適応が縮小している。根治手術はリンパ節郭清を伴った腸管切除を行う。低位前方切除,永久人工肛門を造設する腹会陰式直腸切断術,歯状線以下で吻合するISRがある。リンパ節転移が疑われない早期癌に対しては側方郭清を行わない。
 pM癌や転移リスク因子のないpSM癌の治療は,内視鏡的摘除か外科的局所切除を行う。転移リスク因子のあるpSM癌では根治手術を行うが,排便機能の低下や人工肛門造設は患者のQOLを低下させる。今後画像診断技術が進歩し,転移リスク因子の研究が進み,根治手術適応症例の絞り込みが期待される。

Key words
●下部直腸癌 ●早期癌 ●外科的治療 ●局所切除 ●根治手術

はじめに

 下部直腸早期癌の治療においては,根治性を追求することと機能を温存することを両立させることが重要となる。下部直腸癌に対して行われる直腸切除やリンパ節郭清によって,排便,排尿,性機能障害が生じ,QOLが損なわれることもある。根治性,機能温存に加えて患者背景をも考慮して治療法を決定していく必要がある。
 下部直腸早期癌の診療においては,深達度診断が非常に大きなウエイトを占める。深達度pSMの直腸癌では,約12%のリンパ節転移率とされている1)。しかし,pSM癌でも,粘膜下層軽度浸潤と粘膜下層深部浸潤とでリンパ節転移率が異なっており,治療法も異なってくる。深達度診断が困難な場合,内視鏡的摘除や経肛門的切除を行って病理学的に詳細に検討し,リンパ節転移リスクを評価し,追加の直腸切除を行う必要性について検討することになる。本号では,早期大腸癌の深達度診断や内視鏡的摘除,病理学的評価法について特集されているので,他稿を参照していただきたい。
 本稿では,下部直腸早期癌の外科的治療について,各術式の方法や特徴を簡単に記した後,考察で本邦や海外の現状や問題点を述べる。

局所切除

 下部直腸早期癌のうち,粘膜内癌およびリスクのない軽度浸潤SM癌はリンパ節転移がないため,局所切除のみにて治癒する。

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る