Summary  腹腔鏡下手術は整容性に優れた低侵襲手術である。大腸癌治療ガイドラインによると,結腸癌および直腸S状部癌に対するD2以下の腸切除に適しており,cStage 0~Ⅰがよい適応である。D3を伴うcStageⅡ~Ⅲに対しての腹腔鏡下結腸切除術や,横行結腸癌,高度肥満例,高度癒着例は難度が高く,習熟度を十分に考慮して適応を決めるべきであり,直腸癌に対する腹腔鏡下手術については有効性と安全性は確立されていない。今後,本邦における進行結腸癌に対する腹腔鏡下手術と開腹手術のRCT(JCOG0404)や,cStage 0およびcStageⅠの直腸癌に対する腹腔鏡下手術の妥当性を検討するRCT(Lap RC)の解析結果が,進行癌や直腸癌に対する腹腔鏡下手術の位置付けを決定するものとして期待される一方,腹腔鏡下手術の普及には,指導者の育成や手技の均てん化も重要である。