Summary  pSM癌の取扱い指針と確認事項をまとめた。併せて今後の改訂への方向性について私なりの意見を述べた。大腸pSM癌は10~20%でリンパ節転移する。その一方で,80~90%は内視鏡治療で局所の完全切除が可能であれば治療が完了する疾患である。したがって,いかにリンパ節転移や遠隔転移を診断,予測,さらに救済を目的とした戦略を考えるかは患者さんにとって大事である。病理診断の精度管理はこのことにかかわる重要事項である。大腸SM癌の診断におけるリンパ節転移率や再発率が低リスクである有茎性病変の診断,pSM2(垂直浸潤距離1,000μm以上)と簇出によるリンパ節転移高リスク群の拾い上げ,病理診断における特殊染色の重要性,特に脈管侵襲の評価に重要であること,などに言及した。pSM癌の治療指針の標準化が必要ではあるが,実際の症例では100%完治を目指すには限界を感じる症例もある(症例提示)。まずは見逃さない,みつけたら確実に治療する,次に,救済を考えた経過観察を行うことの重要性を強調した。