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早期大腸癌の内視鏡治療・外科手術の最前線

pSM癌の取扱い指針

Handling and pathological diagnosis in Japanese guidelines for treatment of pSM colorectal cancer

藤盛孝博藤井隆広松田尚久市川一仁

大腸癌FRONTIER Vol.4 No.3, 67-74, 2011

Summary
 pSM癌の取扱い指針と確認事項をまとめた。併せて今後の改訂への方向性について私なりの意見を述べた。大腸pSM癌は10~20%でリンパ節転移する。その一方で,80~90%は内視鏡治療で局所の完全切除が可能であれば治療が完了する疾患である。したがって,いかにリンパ節転移や遠隔転移を診断,予測,さらに救済を目的とした戦略を考えるかは患者さんにとって大事である。病理診断の精度管理はこのことにかかわる重要事項である。大腸SM癌の診断におけるリンパ節転移率や再発率が低リスクである有茎性病変の診断,pSM2(垂直浸潤距離1,000μm以上)と簇出によるリンパ節転移高リスク群の拾い上げ,病理診断における特殊染色の重要性,特に脈管侵襲の評価に重要であること,などに言及した。pSM癌の治療指針の標準化が必要ではあるが,実際の症例では100%完治を目指すには限界を感じる症例もある(症例提示)。まずは見逃さない,みつけたら確実に治療する,次に,救済を考えた経過観察を行うことの重要性を強調した。

Key words
●pSM癌の取扱い指針 ●SM浸潤距離 ●簇出 ●head invasion ●脈管侵襲と深達度診断

はじめに

 大腸癌FRONTIERの特集や大腸癌取扱い規約あるいは大腸癌治療ガイドラインを通してpSM癌の取扱い指針については詳細に報告されており,今後の課題としては,味岡らの大腸癌研究会プロジェクト研究「1,000μm以深SM癌(pSM2)の転移リスクの層別化」の結果を待つことで“追加外科手術を考慮する”ための判断材料としての具体的なエビデンスが明らかになると思われる。したがって,本稿ではpSM癌の取扱い指針と現状での確認事項と論文を参考にした改訂への方向性への私見をまとめてみたい。

大腸有茎性SM癌の特殊性

 大腸有茎性SM癌とリンパ節転移および再発については松田らが2002年の胃と腸1),2010年の大腸疾患NOW2)に報告している。最も重要な点は,大腸有茎性SM癌におけるリンパ節転移率は3.5%であり,非有茎性病変に比べて有意に低いリンパ節転移率であったことと,有茎性病変を内視鏡的な頭部と茎部の間に基準線(おおよそHaggitt level 2)を引いて頭部をhead invasion,茎部をstalk invasionとしたとき,リンパ節転移率は0%と6.2%,再発率は0%と0.8%であったこととを明らかにしたことである(図1)。

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