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早期大腸癌の内視鏡治療・外科手術の最前線

内視鏡摘除後の根治判定基準

Curative condition for endoscopically resected early colorectal carcinoma

味岡洋一

大腸癌FRONTIER Vol.4 No.3, 62-66, 2011

Summary
 早期大腸癌の中で,粘膜内癌はリンパ節転移がないため,内視鏡的完全摘除で根治と判定される。pSM癌の根治判定にはより詳細な病理組織学的検索が必要であり,リンパ節転移リスクがきわめて低いと判断される病理組織学的特徴をもつものが,内視鏡摘除で根治が期待される。大腸癌研究会プロジェクト研究によるpSM癌の病理組織所見とリンパ節転移との関係の検討から,「大腸癌治療ガイドライン医師用2009年版」では,①垂直断端陰性,②乳頭腺癌・管状腺癌,③SM浸潤度<1,000μm,④脈管侵襲陰性,⑤簇出Grade 1,の5つの因子すべてが,根治判定の必要条件とされている。本稿ではそれらの解説と,今後の検討が必要な課題について述べた。

Key words
●大腸pSM癌 ●内視鏡摘除 ●大腸癌治療ガイドライン ●根治判定基準 ●病理組織因子

はじめに

 内視鏡摘除された早期大腸癌は,摘除材料の病理学的検索により,内視鏡治療による根治性が評価される。評価基準は,①完全摘除かどうかと,②発生局所にとどまる癌かどうか,の2点であり,②についてはリンパ節転移リスクがその指標となる。粘膜内癌にはリンパ節転移がないため,内視鏡的完全摘除で根治と判定される。一方,粘膜下層浸潤癌(pSM癌)には10%前後にリンパ節転移があるため1, 2),pSM癌を単一の疾患単位としてみた場合は,(内視鏡摘除で根治とはできず)リンパ節郭清を含む外科切除が必要となる。しかし,逆の視点からみるとpSM癌の90%前後にはリンパ節転移がないため,pSM癌をリンパ節転移リスクのある群と,それがきわめて低い群とに判別できれば,後者は内視鏡摘除で根治が期待される病変とみなせる。すなわち,後者の病理組織学的特徴を,内視鏡摘除pSM癌の根治判定基準と考えることができる。これまで,大腸癌研究会のプロジェクト研究では,pSM癌の病理組織因子とリンパ節転移リスクとの関係についての検討が行われ3-5),それらの結果を踏まえ内視鏡摘除pSM癌の根治判定基準に関するコンセンサスが形成されてきた。その内容は「大腸癌治療ガイドライン医師用2009年版」6)(以下ガイドライン2009)の中の,“内視鏡的摘除後のpSM癌の治療方針”として反映されている。
 ガイドライン2009の“内視鏡的摘除後のpSM癌の治療方針”では,pSM癌を5つの病理組織因子(垂直断端,癌組織型,SM浸潤度,脈管侵襲,簇出)の評価から,経過観察,郭清を伴う腸切除を考慮する,郭清を伴う腸切除,の3群に分けている(図1)。

経過観察群が,内視鏡摘除で根治が期待される病変に対応する。①垂直断端陰性,②乳頭腺癌・管状腺癌,③SM浸潤度<1,000μm,④脈管侵襲陰性,⑤簇出Grade 1,の5つの条件すべてを満たすことが,内視鏡摘除pSM癌の根治判定基準となる。本稿ではこれらの病理組織因子について,今後の検討が必要とされている課題も併せて,解説する。

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