Summary  早期大腸癌の中で,粘膜内癌はリンパ節転移がないため,内視鏡的完全摘除で根治と判定される。pSM癌の根治判定にはより詳細な病理組織学的検索が必要であり,リンパ節転移リスクがきわめて低いと判断される病理組織学的特徴をもつものが,内視鏡摘除で根治が期待される。大腸癌研究会プロジェクト研究によるpSM癌の病理組織所見とリンパ節転移との関係の検討から,「大腸癌治療ガイドライン医師用2009年版」では,①垂直断端陰性,②乳頭腺癌・管状腺癌,③SM浸潤度<1,000μm,④脈管侵襲陰性,⑤簇出Grade 1,の5つの因子すべてが,根治判定の必要条件とされている。本稿ではそれらの解説と,今後の検討が必要な課題について述べた。