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早期大腸癌の内視鏡治療・外科手術の最前線

大腸ESD─手技のコツとピットフォール

Practical technique and pitfall of Colorectal ESD

斎藤豊玉井尚人中村文彦栗林志行大竹陽介坂本琢中島健松田尚久

大腸癌FRONTIER Vol.4 No.3, 54-61, 2011

Summary
 大腸ESDは,現在先進医療としてのみ実施可能であるが,認可は2011年7月現在で140施設をすでに超えている。当院でのESDの適応は先進医療の適応に準じLST-NG>20mm, LST-G(mix)>30mmを基本としている。手技は,ボールチップ型Bナイフ,ITナイフを主デバイスとし,グリセオール®/ヒアルロン酸を局注剤とし,water jetスコープにSTフードショートタイプを装着し,必ずCO2送気のもとに行う。通常反転で口側から周囲切開を開始し,部分的な切開後,SM層の剥離をスタートさせることがコツである。当院における治療成績を2007年までの前期と2008年からの後期3年との間で比較したところESD施行医は2→6人と増加し,穿孔率3.8→1.9%(最近2年間は0.8%)と減少している。院内における手技の標準化が進み,大腸ESDが安全に施行できる環境が整ったが,今後は日本国内から海外に向けてESD手技の普及を考える必要がある。

Key words
●大腸ESD ●標準化 ●偶発症 ●側方発育型腫瘍(LST) ●拡大内視鏡診断

はじめに

 早期胃癌においては,腫瘍径の大きな病変に対しても一括切除を可能とする内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection;ESD)の有用性が認識され,日本国内においてはかなり普及しつつある。また海外においても,ESDの有用性は理解され,高い関心がもたれているものの,大腸に関しては,腸管壁の薄さからくる穿孔の危険性や,管腔が狭いことから内視鏡の操作性が悪いといった技術的困難性から,いまだ普及しているとは言い難い。日本国内においても,現在先進医療としてのみ実施可能であるが,施設数は2011年7月現在で140施設をすでに超えているといった状況である。
 今後,保険収載する際に問題となる,大腸ESDの適応に関しても腺腫内癌の多い側方発育型腫瘍(laterally spreading tumor;LST)1, 2)において,癌に限定すべきか,腺腫内癌に対して一括切除の必要性はあるのかなど,議論すべき課題も多い。

大腸ESDにおける適応病変の設定

 内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection;EMR)の適応となるいわゆるLST1, 2)ではその多くが腺腫内癌であり,必ずしもすべての病変を一括切除する必要はないとされてきた。LSTはその表面形態により顆粒型LST(LST-granular type;LST-G)と非顆粒型LST(LST-non granular type;LST-NG)に亜分類され,LST-Gはさらに粗大結節の有無によって結節混在型Ⅰs+Ⅱa(LST-G)と顆粒均一型Ⅱa(LST-G)に細分類される。当院では,内視鏡的,臨床病理的検討から,明らかなinvasive pattern3)を認めないことを絶対条件として,その多くが腺腫あるいは腺腫内がんであり,SM浸潤率が低く,またSM微小浸潤したとしてもその浸潤部位が予測できるLST-Gに対しては粗大結節を分断しないように切除する計画的分割切除(endoscopic piecemeal mucosal resection;EPMR)で対応可能としてきた。
 一方LST-NGにおいては,20mmを超えた時点でSM浸潤率が約20%あり,また約3割のSM微小浸潤が術前に予測不可能であるためESDなどの一括切除術が望ましい1, 2)。
 その後の追加検討4)で,LST-Gにおいても25%,LST-NGに至っては56%もの多中心性浸潤を認めることが判明した(図1a,b)。

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