Summary  大きさからみた大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection;ESD)の適応は,スネアにて一括切除困難な腫瘍(通常,径2cm以上)であるが,これらの多くは腺腫主体のいわゆる側方発育型腫瘍(laterally spreading tumor;LST)である。特にLST顆粒型は術前にSM浸潤部や高異型度癌が疑われる部位を診断できるため,癌の部分をスネアで一括できれば計画的分割切除でも病理診断に支障をきたすことなく根治できる。現在,「大腸ESD標準化検討部会」による大腸ESDの適応基準は,スネアによる一括切除が困難な大腸腫瘍性病変であり,具体的にはLST-NG偽陥凹型,VI型pit patternを呈する病変,SM軽度浸潤癌,大きな陥凹型腫瘍,癌が疑われる大きな隆起性病変,粘膜下層に線維化を伴う粘膜内病変,慢性炎症を背景としたsporadicな局在腫瘍,内視鏡的切除後の局所遺残早期癌である。なお,現在大腸ESDは保険収載されておらず先進医療として施行されている。