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早期大腸癌の内視鏡治療・外科手術の最前線

【特別寄稿】CT colonographyを用いた早期大腸癌の治療前リンパ節転移診断について

飯沼元三宅基隆

大腸癌FRONTIER Vol.4 No.3, 37-40, 2011

はじめに
 マルチスライスCT(MSCT)の登場によりCT診断は革命的な進歩を遂げ,放射線診断の中核的な存在となった。消化管診断においても解像度に優れたMSCTの再構成画像により,原発巣や転移巣の正確な評価が可能となった1)。特にMSCTの画像データを活用した大腸のCT三次元表示はCT colonography(CTC)として,術前診断やスクリーニングに応用されるようになった2)。術前CTCでは原発巣の三次元表示のみならず,MPR(multi-planar reconstruction)表示によって,任意方向の高精細な断層画像により,リンパ節腫大(転移)の詳細な評価が可能である。本稿ではCTCにおける早期大腸癌のリンパ節転移診断において,その診断法と限界について報告する。

早期大腸癌のリンパ節転移

 遠隔転移がなく切除可能な大腸癌の治療法は,内視鏡切除から腹腔鏡下切除,さらにリンパ節郭清を含む外科切除と幅広く,治療法の選択は病変の大きさ(境界2cm)や深達度,リンパ節転移の有無の診断による術前病期分類によって決定される(図1)3)。

最近では粘膜下層切除(endoscopic submucosal dissection;ESD)の普及により,早期癌のうち基本的にリンパ節転移がない粘膜内癌の多くはESDによって完治するようになった。当センターにおいても内視鏡切除標本で粘膜下層に1,000μm以上の浸潤(sm2~sm3)を認めた場合,腹腔鏡下切除を含んだ外科治療が追加される。進行癌の場合はリンパ節郭清範囲の決定のため,正確なリンパ節の診断が重要となる。早期癌においても粘膜下層(sm)浸潤が疑われる病変においては,リンパ節転移の可能性を考えて診断を進める必要がある。CTCでは原発巣の位置と周囲の血管構築を三次元的に把握可能であり,支配血管領域のリンパ節腫大を正確に診断可能である。正常の大腸リンパ節は支配動脈周囲に扁平な形で存在し,高精細なCTC画像でも認識困難であるが,炎症や転移により腫大すると認識可能となる4)。従来のCTにおけるリンパ節転移の診断は形状と大きさから診断され,類円形で1㎝以上の腫大は転移の可能性が高いとされてきたが正診率は70%程度である(図2)。

早期浸潤癌と診断され,リンパ節転移の可能性がある病変においては,CTCのMPR像で傍腸管リンパ節から支配動脈周囲の中間リンパ節群を詳細に観察することが重要である。CTCのMPR表示では2~3㎜大のリンパ節を認識可能であるが,当センターでは超音波内視鏡,CTや直腸MRI診断における経験に基づき,現在では腫大リンパ節の短径が5㎜以上のものを転移陽性としている5)。

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