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早期大腸癌の内視鏡治療・外科手術の最前線

【特別寄稿】画像強調観察:NBI拡大内視鏡観察を中心に

田中信治

大腸癌FRONTIER Vol.4 No.3, 26-30, 2011

はじめに
 画像強調内視鏡観察法(image-enhanced endoscopy;IEE)1)の中で,日常臨床で使用されているのは,NBI(narrow band imaging)2-4),FICE(flexible spectral imaging color enhancement)5),AFI(autofluorescence imaging)6)であるが,NBIとFICEは,2010年春の保険診療報酬改訂において拡大内視鏡観察と併用することで200点の診療報酬加算が認可され,現在,広く日常臨床の場へ普及しつつある。本稿では,大腸腫瘍に対するNBI拡大内視鏡観察に関する最近の状況について紹介する。

NBI拡大内視鏡観察の基本所見

1.vascular pattern

 腺腫性病変のNBI拡大内視鏡観察では,pit間の介在粘膜は表層部の微小血管が茶褐色に強調され網目状の血管模様(capillary network)が認識される。癌では,癌細胞の浸潤増殖,炎症細胞浸潤や間質反応に伴う血管径の不一性や血管走行の不整,分布の乱れなどが出現してくる7,8)。このNBI拡大内視鏡観察を用いた微小血管の視認性の有無や,血管の太さ/分布の不一性/不整度を解析することで大腸病変における腫瘍/非腫瘍,腺腫/癌の鑑別が可能になると考えられ,このような背景のもとで多くの施設がさまざまな分類や評価方法を提唱している9-13)が,NBI拡大内視鏡観察で視認されるvascular patternのみで腫瘍の質的診断を行うことの問題点や限界も指摘されている2-4,14)。

2.surface pattern

 腺腫性病変のNBI拡大内視鏡観察では,pit間の介在粘膜は表層部の微小血管が茶褐色に強調されcapillary networkが認識されるが,血管のない「pit様部分(white zone)」は白く抜けて観察される。これにNBIの構造強調観察能が加わることにより,間接的なpit様構造の診断も可能となる(図1)2-4,14,15)。

癌では,癌細胞の浸潤増殖,炎症細胞浸潤や間質反応に伴う血管径の不一性や血管走行の不整,分布の乱れ,前述の「pit様構造」や窩間粘膜の破壊などが出現してくる4)。
 腺管構造をもたない咽喉頭・食道の扁平上皮領域では,純粋に微小血管構築のみの評価による診断学が確立しているが16),Barrett食道,胃などの円柱上皮領域では,拡大観察による微小血管構築の評価に加えて表面微細模様の評価を加味することで診断精度を向上させる試みがなされている17)。同じ円柱上皮の大腸でも,最近表面微細模様の評価を加味することが積極的に検討されているが,図2に示すように,NBI拡大内視鏡観察で認められる「pit様構造」は,真のpit開口部(crypt opening;CO)と腺窩周辺上皮(marginal crypt epithelium;MCE)を併せた構造である17)。

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