Summary
大腸癌治療ガイドライン医師用2005年版から5年の歳月を経て,「大腸癌治療ガイドライン医師用2010年版」が出版され,ガイドラインに従った大腸早期癌治療の中期経過が各種学会や論文で発表され,患者に具体的な数値をインフォームできるようになったことを最大の利点として,本ガイドラインの妥当性が示されるようになった。一方で,逆に追加外科手術が増加した施設も少ないながらみられており,問題点として指摘されている。その理由として,2005年版において,pSM浸潤距離1,000μm以上の病変は“外科的追加腸切除を考慮する”と記載されているところを「外科的追加腸切除の適応である」との誤った解釈がなされているためである。また,内視鏡的摘除の結果pSM癌で垂直浸潤距離1,000μm以上であった例に対して経過観察を行った場合の局所・リンパ節再発ならびに遠隔転移の危険率,転移発見後のサルベージ治療の可否を含めた予後についてのデータや記載がないためである。今後,これらの点を明らかにするための大規模な前向き研究が必要である。
全文記事
次期改訂に向けて~大腸癌治療ガイドラインの問題点と今後の方向性
内視鏡治療
Endoscopic treatment
掲載誌
大腸癌FRONTIER
Vol.4 No.2 10-15,
2011
著者名
斉藤裕輔
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
消化器
/
癌
診療科目
消化器内科
/
腫瘍内科
/
消化器外科
媒体
大腸癌FRONTIER
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。