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大腸癌遠隔転移の治療方針
【治療】切除不能遠隔転移を有する患者に対する原発巣切除の方針
掲載誌
大腸癌FRONTIER
Vol.1 No.4 26-29,
2009
著者名
高橋慶一
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山口達郎
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松本寛
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中野大輔
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鈴木陽三
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森武生
記事体裁
特集
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全文記事
疾患領域
消化器
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癌
診療科目
一般外科
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消化器内科
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腫瘍内科
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消化器外科
媒体
大腸癌FRONTIER
「Summary」 切除不能遠隔転移を有する大腸癌に対して原発巣を切除するかについては, 意見の分かれるところである. 大腸癌治療ガイドラインによれば出血やイレウス症状のような有症状の大腸癌に対しては, 原発巣の切除や人工肛門造設を先行させてから遠隔転移の治療を行うこととしている. 一方, 原発巣が無症状の場合は, 遠隔転移巣の状況を考慮し, 原発巣の切除は施設や治療を行う主治医の判断に任されている. さらに全身化学療法の進歩により, 切除不能の遠隔転移が治療効果により縮小し, 切除できる時代に入り, 原発巣の取り扱いについては流動的な状態となっているのが現状である. 原発巣の切除の有無と予後との比較を行った臨床試験はないが, 切除可能な大腸癌に対する外科切除は合併切除を行わない限り, 患者の負担を増大させるものではなく, むしろ増大し, 有症状となったときの原発巣切除の手術リスクの増大も考慮し, 遠隔転移と原発巣の状況および患者の全身状態を考慮して, 原発巣の切除方針を決定すべきである.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。