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FORUM

【Pros and Cons】てんかん性性格変化―あるか,ないか―

山田了士深尾憲二朗

Epilepsy Vol.16 No.2, 51-58, 2022

側頭葉てんかん(temporal lobe epilepsy:TLE)のある人では,粘着性,爆発性があり,正義感が強く,また,宗教や哲学など神秘性,抽象性への固執といった性格ないし性格変化があるといわれ,「Geschwind症候群」とも呼ばれる1).また,若年ミオクロニーてんかん(juvenile myoclonic epilepsy:JME)のある人は,天真爛漫で刹那的な行動に出やすく,大事なことがおろそかになるような性格がみられることが知られている2)
このように,いくつかのてんかん症候群には一定の性格傾向が関連するのではないかということが,スティグマの観点も含め論議されてきた.
今回のフォーラムにおいて,筆者は,てんかん性の性格変化の有無について“ない”とする立場でのお題をいただいた.第54回日本てんかん学会学術集会(兼本浩祐会長)でのシンポジウム,さらには『精神科治療学』誌においても,「てんかん『性格』─あるか,ないか─」という特集テーマがあった.多くのてんかん専門家による見解は大変価値あるものであったが,「あるかないか」と白黒をつけるという点では,やはり,簡単に片付けられるものではないという印象であった.筆者もそのなかで,知的障害や発達障害の存在が「性格」に大きい影響を与える部分はあるとしても,そうした発達特性とは区別されるてんかん独特の特性もあるようなないような,という曖昧な表現でまとめた3).発達障害のある人のなかにも,さまざまな性格の持ち主がいるのであるから,随伴障害の影響と性格とは区別するのが妥当ではないか.であれば,てんかんに関連する「性格」は本当にあるのかないのか,再び曖昧なまま終わりそうではあるが,本稿でもう一度考えてみようと思う.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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