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てんかん臨床の窓から

視床下部過誤腫の外国人診療体制の現状と課題

白水洋史

Epilepsy Vol.16 No.2, 46-49, 2022

視床下部過誤腫は,「笑い発作」という特異な発作型を主症状とするまれな先天性病変である.笑い発作のほかにも,さまざまな発作型の併発や,知的障害,特徴的な行動異常を伴う視床下部過誤腫症候群という状態を呈する.視床下部過誤腫によるてんかん発作は,きわめて薬剤抵抗性であり,また視床下部過誤腫そのものが内因性てんかん原性をもつことから,視床下部過誤腫に対する外科的治療の介入が必要となる.特に,視床下部過誤腫を正常視床下部から離断することが,発作消失にきわめて重要である.しかし,視床下部過誤腫は脳深部に局在し,周囲を重要構造に囲まれていることから,十分な離断が難しい病変である.そのため,治療は困難とされていたが,当院では1997年以降,定位的脳手術の手技を用いた定位温熱凝固術(stereotactic radiofrequency thermocoagulation:SRT)を行い,低侵襲で,かつ従来の治療法に比べてはるかに高い治療効果をもたらすことができている1, 2).このことから,国内各地より患者をご紹介いただき治療を行っているが,近年では海外からも治療要請があり,外国人患者の受け入れを行っている.2022年6月までに,計251例の患者を治療し,このうち74例が海外(15カ国)からの患者である.本稿では,この外国人診療体制についての現状(図1),および今後の課題について述べる.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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