はじめに
脳卒中の後遺症のひとつである脳卒中後てんかんは,高齢者のてんかんの最大の原因となっている.近年,急性期脳卒中診療の劇的な進歩に伴い,死亡率の改善とともに脳卒中後てんかんの潜在的なリスクを持つ脳卒中生存者は増加の一途をたどっている1).抗てんかん薬は脳卒中後てんかん治療の中心であり,多くの症例は抗てんかん薬単剤投薬にて十分に制御可能と考えられているが,実際は1年間に約30%程度の脳卒中後てんかんが発作の再発を経験しており2),seizure free(発作のない状態)を目的と考えると十分とは言えない.米国と欧州のガイドラインによると3,4),抗てんかん薬のなかでも新世代抗てんかん薬であるレベチラセタム(LEV)およびラモトリギン(LTG)が,副作用が少ないということで推奨されているが,脳卒中後てんかんの発作抑制という観点において,新世代抗てんかん薬が旧世代に比較して優れているかどうかの大規模な研究は存在しておらず,本研究5)を着想した.