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目でみるてんかん

AMPA受容体標識PETプローブによるてんかん病態解明

高橋琢哉

Epilepsy Vol.16 No.1, 6-9, 2022

精神神経疾患をターゲットとした診断・治療法開発のためには強い科学的根拠が必要である.その奏効率向上のためには,基礎・臨床の融合研究を緻密に行い,また,製薬業界と連携していく必要がある.シナプスは神経細胞と神経細胞をつないでいる情報伝達の最小ユニット構造体である.シナプス前神経が刺激を受けると,シナプス前終末から神経伝達物質が放出され,放出された神経伝達物質は受け手の神経細胞のシナプス後膜にある受容体に結合し,その結果,イオンチャネルを形成している受容体が開口してイオンが細胞内に流入し情報伝達が起こる.グルタミン酸シナプスは脳内の興奮性シナプスの大半を占める.複数のグルタミン酸受容体が存在するなかで,AMPA受容体(α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionic acid receptor)はグルタミン酸シナプス伝達において最も重要な役割を担っている1-11).AMPA受容体は神経機能発現のいわば「実行部隊」ともいうべき分子であり,ほとんどの神経機能発現において中心的な役割を担っている.AMPA受容体の機能の破綻は,多くの精神神経疾患にかかわっているということが基礎研究において示唆されている一方で,それらの多くの知見がヒトにおける病態解明に結び付いている例は少ない.その大きな要因は,生きているヒトでAMPA受容体を可視化する技術が存在していないため,ヒト疾患におけるAMPA受容体の役割が不明であったからである.筆者らは近年,ヒト生体でAMPA受容体を可視化するポジトロン断層撮影(positron emission tomography:PET)プローブ,[¹¹C]K-2を世界で初めて開発した12)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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